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「コミュニティをつくって、みんなで生き抜こう」を経て見える、驚きと喜びの新しい地平

記事:GEN-Japan代表 片山弘子

コロナウイルスとともにどう生きていくか? 

ニュースに不安を煽られがちな日々、「このような時こそ、いま直面している事態に真摯に向き合い、これから明るく力強く、世界中の人たちとともに生き抜いていきたい。」そんな願いを、辻信一さんと話しはじめたことが、このオンラインシリーズを生み出すきっかけになりました。

この願いをどう形にしていこうか。一緒にやっていきたい人たちの顔が次々に浮かびました。それは2017年から2019年まで辻さんの声掛けで開催された、「しあわせの経済国際会議」で出会ってきた皆さんと、これまで一緒にやりたいと思いながらもその機会を逃していた皆さんでした。この機会に何か一緒にできないかと、さらにそのイメージが広がりました。

「今という、このタイミングで、心を合わせて横につながっていくことが、どれだけ多くの人たちに、この方向性への可能性を示すことになるだろうか。」――最初は形も決まっていない中でしたが、一人一人、皆さんと連絡を取っていくと、その会話を通してたくさんのエネルギーが自分のうちにも湧きあがり、実際にも知恵や力を足しあって、広い協力態勢が生まれました。まさに糸が紡がれ、布が織りあがるように、回を重ねるごとに内容が育って、そのこと自体が驚きと喜びの連続でした。

1月は辻さんからの問題提起、2月は全5回の、日本各地でコミュニティやローカルの動きをしている人たちとその活動紹介、そして3月は世界との交流という、当初の予想をはるかに超えた3か月間にわたる企画になりました。趣旨に賛同するエコビレッジやローカリゼーション、トランジション活動など20団体以上の実践家同士のきずなを意識しあうことになりました。そこに、これからの生き方を模索しようとしている市民や次世代の人たち、のべ500人をこえる参加者も加わって繋がることができました。短時間にもかかわらず、ほとばしるような、心と知性の出会いがあったように私は感じました。

この企画がきっかけで、新たに協力して企画が始まったり、相互の訪問や情報共有も始まったりしています。プラットフォームがこれほど必要とされていることを、改めて気づかされた3か月間でもありました。

いかに危機に瀕して見える時代にあっても、私たち一人一人が、みずからの根源的な生きる喜びから発していくことが、すべてのカギを握っているのではないか。人類史をたどると、もともと人は生物としては決して強い存在ではありませんが、共に協力し合って支え合うことで、厳しい変化にも耐え抜いて生きてきたことは明らかです。同じ方向性を願う私たちから、まず、争いなく調和しながら進んでいけることを示していきたくなりました。コロナウイルスがきっかけになりましたが、再生可能な豊かな社会を世界各地に開花させていくーーこの3か月間に織りなされた動きは、その流れの中に確実に息づいていくものと確信しております。

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気候やコロナといった危機の深まりのなか、
静けさや暗さや重さ、不安や寂しさや憤りさえも糧として、
一人ひとりのうちに、味噌のように発酵してきた新しい物語へと、いよいよ踏み出す時だ。
セパレーションからリレーションへ。分離からつながりへ。
「あいだ」としての自分自身をいたるところに見出し
「あいだ」としてのコミュニティで出会おう。

辻信一
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第1弾 1月15日 辻信一さんの基調講演:「あいだ」から拓ける次の世界

辻さんのお話と、辻さんの長年の友でもありマインドフルネスの師でもあるプラチャー・フタヌワット氏の世界史的な視座を得て、次の社会実現のベースになる人間観・社会観を、深く探究することになりました。何より、辻さん自身の魂からの声にが、参加のみなさんの心が、一斉に動き始めたのを感じました。魂からの声は魂を揺さぶるものです。顔を上げ、次にむけて動き出そうとしている様子を、いくつかの感想から紹介します。

参加者の感想から

いつからか人間は、「あいだ」を破壊してきた。また「わからない」を許さなくなってきた。そのことで、今の社会の諸問題が起こっていると、辻さんは指摘する。

あたかも私とあなたが別々に、独力で存在しているかのような捉え方が当たり前の現代、そこに広大な「あいだ」が存在していることが忘れられようとしている。あいだとは、かかわりや関係性、場や空気とも呼べるもの、例えば体内や空気中に何百兆といる細菌や微生物などの小さな命にも相互のやりとりがあり、その「あいだ」を育みながら新たな存在を生み出していきます。そのベースに私たちもまた「立ち現れた存在の一つ」なのでしょうか。その圧倒的な「分からなさ」を丸ごと受け止められる装置にもなっていたのが文化やコミュニティーだったのです。(30代 女性)

「二者性」という最首悟さんの言葉を引用して、辻さんは語る。そもそも「わたし」というものは、「最初から」与えられているのではない。「我思う。ゆえに我あり」的な利己的態度でみる分離の「わたし」ではなく、「わたし」とは、「あなたのあなた」なのだ。どこまでもつながっている存在なのだ。自他未分で、不可分なのだ。
そして僕らを勇気づけるようにメッセージをくれた。
「主」と「客」だけでない「あいだ」を取り戻そう。
わたしとあなたは一体で、つながっているのだ。
わからなさを怖れずに「あいだ」に入って行こう。
そしてコミュニティを作っていこう!
とてもやる気がでてきたよ。(30代男性)

第2弾 2月19日~21日 日本のローカル&エコビレッジ大集合の3日間

南は沖縄から北は北海道まで、このシリーズ企画の趣旨に賛同するローカリゼーションやエコビレッジづくりの活動家16人が、テーマごとに5つのグループで活動や課題を発表しました。GENOAからAmena BalがGENOAの活動紹介をしました。最終日にはコミュニティを実際に作って行ける人を育てるための人材養成プログラム・EDEの紹介を、ガイアエデュケーション現代表のジョバンニチャーロさんからしていただきました。最後に辻さんと片山弘子GENJapanの進行で、パーマカルチャー、トランジション、アズワンネットワークなど主だった運動団体の代表が、これからの活動を描きました。

参加したスピーカーたちの声

「お互いの活動は知ってはいたが、今回心から交流することができた。この運動の方向性への確信が得られた、自分の持ち味を発揮していくことでみんなで運動を進めていけばいいのだという深い気づき、そこからくる安心、お互いへの信頼を感じられて、本当に暖かくいい時間を共有できた。」等、声が寄せられました。

▶2月19日(金)20:00~22:30 

「日本のローカリゼーション大集合」
進行)辻信一 片山弘子
いすみ市の取り組み(greenz.jp 鈴木菜央)/いとなみの森と海を繋ぐ活動(藤井芳広)/鴨川の取り組み(林良樹)

▶2月20日(土)13:30~16:30

「日本のエコビレッジ大集合」
進行)吉武大輔 熊倉敬聡 片山弘子
お話し)谷崎テトラ
UMIKAZE(伊藤研人)/WA Island(椚座信)/三角エコビレッジサイハテ(工藤シンク)/余市エコビレッジ(坂本純科)/アズワン鈴鹿コミュニティ(岸浪龍)

▶2月20日(土)20:00~22:15

「福祉と子育てがコミュニティをつくる」
​進行)廣水乃生ニティづくりの視点から
コミュニティづくりの視点から(山崎  亮)/那須まちづくり広場(鏑木孝昭)/一般社団法人すこやかのわ(木林京子)/NPO法人幸ハウス(川村真妃)

▶2月21日(日)10:00~12:15

「これからの暮らしと、学びの場づくり」
進行)ソーヤー海 片山弘子
ウェル洋光台(戸谷浩隆)/屋久島アーストライブ(鈴木洋見)/ダーナビレッジ(小川美農里)/パーマカルチャーと平和道場(ソーヤー海)

▶2月21日(日)13:30~16:30

「日本のローカリゼーション、エコビレッジのこれから」
進行)辻信一 片山弘子
トランジションタウン(吉田俊郎)/アズワンネットワーク(小野雅司)/パーマカルチャー(四井真治)/ワーカーズコープ(玉木信博)/ガイアエデュケーションとGEN(片山弘子)

第3弾 3月19日~20日 世界の動きとともに


3月19日は、ヘレナ・ノーバーグ=ホッジが辻さん、ソーヤー海とともに登壇しました。ヘレナは、「いまこのとき、世界各地の人々が、それぞれのコミュニティの経済をローカルに根付かせコミュニティを強化していくことで、人本来の幸福とともに生態系を回復させようとしています。人にはもともとそのような力が備わっている。」と力強く訴えました。ヘレナさんは言語学者であると同時に、世界的な非営利活動団体であるLocal Futureの創始者であり代表で、著書Ancient Futureや映画の幸せの経済学で世界的に有名です。

続く3月20日には同じくLocal Futureの25歳のプロジェクトリーダー、ヘンリーコールマンから6月の世界ローカリゼーションデイへの参加の呼びかけや、GENOAからNgothao KinがNEXTGENOAの活動紹介、上海出身のWang Shanから中国のローカリゼーションの様子を紹介しました。またローカリゼーションのモデル事例として、アズワン鈴鹿コミュニティの紹介があり、これから協力しながら運動を進めていくことを話し合いました。

辻さんとソーヤー海、野崎あずみ、小野雅司の4人で、これから子供たちや若い世代がのびのびと生きられるようなコミュニティを各地に生み出していこうと話し合いました。

そして最後に、2月に登壇した各地のコミュニティづくりの実践家たち10人が、現場のそれぞれの仲間や家族とともにフィナーレで現れ、それぞれお互いを祝福するメッセージを
送りあいました。

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