新しい方向を示す流れを生き生きと生み出せる道

投稿日: カテゴリー: GENtopics

片山弘子(GEN-Japan代表)

世界の人口の大半が都市部に集中している中で、いかにグローバリゼーションから独立した暮らしや新しい経済を都市部に生み出していけるでしょう。
新しい方向に向けて、人々が安心して進んでいきたくなるように、どう誘導していけるかが緊急課題となっています。

COP24会場でのGENの仲間たち

エコビレッジの仲間とともに@アジアオセアニア

◆アジアオセアニア14カ国から、COP24から

12月12日~16日は、バンコクのWongsanit Ashramが会場の、GEN(グローバルエコビレッジネットワーク)アジアオセアニアGENOAのミーティングに出席しました。Wongsanit Ashramは、アジアを代表するエコビレッジの一つとして、また社会活動家の拠点、あるいは学び舎として、30年前からたくさんの人たちが関わって作られてきた美しい場所です。ちょうどバンコクは乾期で、朝晩は少しひんやりするくらい。蚊よけに塗ったハッカ油がよくきいて、すごしやすい毎日でした。

数年ぶりの集会ということで、アジアオセアニア14カ国から、30代を中心に50人を超える参加者がありました。さらにポーランドで開催のCOP24に出席していたGEN代表のKoshaさんたちも、その流れで直接バンコクに参加して、現状を確認しあい、来年以降を展望することができました。

各地での活動は、日本と比べてなかなか厳しい状況ですが、真剣な中にも、楽しさいっぱい若さと元気がいっぱいです。誰かが持ってきた太鼓をたたくと、すぐに歌いだしたり踊りだしたり、自分の置かれた状況を苦にせず、素直に生きている人たちでした。ちょうど私自身の息子や娘たちと同年代のたくさんの若い人たちに囲まれ、「HIROKO,HIROKO」と慕われて、一度に50人の新しい子どもたちと出会えたような、幸せなひと時をすごしてきました。

GEN代表のKosha(写真右)とGENOA代表のTrudyと片山弘子さん(真ん中)

◆行き過ぎた資本主義を見直す「薬」としての役割

日本ではほとんど報道されませんが、ヨーロッパでは特にIPCCの最新の情報を市民が真剣に受け止めているという報告がありました。世界観・社会システム・経済・環境のどれが欠けても持続可能にはならない。特にこれからの10年は、それら4分野にわたる総合的な社会変革が求められています。それにはその理解に立った将来像を共有する動きが急がれています。世界総人口に対して、エコビレッジは、あまりにも数が少ないですが、COP21からCOP24までの間、世界のエコビレッジは、未来社会への一つの大きなヒントとして、その存在がクローズアップされてきました。

存在すべてをお金に置き換えてみていかざるを得ない現行経済とその文明によって、人間も含めてすべてが利益追求の道具となり、取って、使って、捨てていくという社会システムの中で、いまや気候変動が常の状態となりました。

エコビレッジは救命ボートとしては圧倒的に数が足りませんが、アジアオセアニアも、ヨーロッパやアメリカでの活動も、今の私たちのグローバリズムに依存した経済活動や暮らしを見直し、あらたな文明の方向にヒントを示すための薬としての働きが、注目されるようになってきました。

2020年からパリ協定が具体的に動き出すのですが、しあわせの経済、ローカリゼーションの新しい風を2019年度、2020年度と吹かせていきながら、若い人たちに実践的な輪が広がるようにしていきたいーー、そんな共通の願いを確認し合いました。

ポーランドで開催のCOP24のみなさんへ
GENOA参加者からのビデオメッセージ。GEN代表のKoshaさんのスピーチです。

GENのアジア、オセアニア会議(GENOA)で

◆アズワンネットワークがなぜ注目されているのか

会場に集まっていた人たちを紹介します。
スリランカの歴史的な農村自立をはかってきたサラボダヤ運動から新しい世代。文字を読めない女性の経済的自立を図っている人たち。インドからは世界的に著名なオーロヴィルの個性豊かな若者たち。フィリピンやインドネシアからは農村部で資本主義的農業から独立していこうとしている人たち。カンボジアからは内戦によってインテリ層が殺され、社会実態をつくるための人材を育てるところから活動しているグループ。地雷の撤去をしながらコミュニティづくりを支援している学習支援組織。中国からは上海に近い農村部の古い共同体に集まってきた都会の若者が活躍しているサンシャインコミュニティ。台湾からはパーマカルチャーの活動をしている若者たち。韓国からソウル市内で若者たちをつなぐ都市型エコビレッジを模索しているグループ。そして、オーソトラリア、ニュージーランドのコミュニティの人たちがあつまっていました。

そこにイギリスのフィンドフォンからコーシャさん、スエーデン出身の教育部門担当のアンナさん、ドイツやフランスからの活動家も参加してきました。

そこでアズワンネットワークの紹介をさせてもらいましたが、そこで参加者から大きな拍手がわいたので、その反応にとても驚かされました。
なぜ注目されたのか具体的に挙げてみると、都市部でコミュニティビジネスを成功させながら、その職場づくりにおいては人の幸せのための経済活動を模索し実現を見ていること。またコミュニティ内部においては、大きな家族のように機能して、子供から病床にある人まで、お金のために何かを犠牲にしないでよいこと。スペースJOYの紹介には素朴な笑顔でいっぱいの拍手がわいて、アジアの人たちには、この大きな家族のような経済はとても近い感覚なのだろうなあと感じさせられました。

さらに注目されたのが、鈴鹿だけではなくて、各地での会社づくりやシェアハウスの運営に生かされつつあることで、そうした各地の動きがネットワークとして連絡を取り合っていることでした。

中国、韓国から来た若者たちとインド・オーロビルの若者たち

オーロビルのカビータ、フィリピンのジェローム

◆当たり前となっているBelief Systemをどう問い直せるか

人間は人間同士で広く認識や情報を共有しながら、実際の基盤だけではなくて、フィクションやシステムを作り上げて圧倒的な協力体制が出来ることで、個体としての弱さを克服して長い時間生きのびてこられました。しかし実際と合わないシステム、たとえば昨今の資本主義体制では自らの生存基盤を破壊していますが、それにも気付かない状態です。無意識のうちに価値観が形成・支配されて、人間への不信に生きるようになってしまった。人への信頼をお金に換え、人との間に隔てをつくるのが当然となっている「価値観」。お金ないしは、価値の交換があれば解決できると思い込んでいる無明。そこからどう実際の世界に向けて自由になれるのか。地球上の他の生物は交換しないでも生きているのに、最も優れた知能を備えているといわれる人間がなぜそうした生き方にとどまっているのでしょう。

人と一緒にいると、それぞれの個性や人間としての価値が社会の中で無視されるような恐れを持ちがちですが、そんな過去に戻ることではない。そこに最も注目が集まりました。

価値観については、どの人にとってもあまりにも当たり前になっているので、本当はどうだろうか、と問い直すことさえできないのが普通です。そこをゼロからの観察と対話によって実現し、鈴鹿だけではなく、各地でそれぞれに合う展開を始めている点に、スエーデン出身の教育部門担当のアンナさんは注目し、サイエンズメソッドをグローバルエコビレッジネットワークのなかでオープンソースとして公開していこうという提案を頂きました。

来年1月から、私もGENOAのこれからのビジョンを描く委員として、また世界全体のGENのネットワーク運営委員としても、会場に集まった皆さんから選出していただき、これから、いまの日本の活動を世界につなぐ仕事を進めていくことになりました。2020年のCOP21パリ協定の実行がはじまりますが、そこに合わせて、日本でのエコビレッジ国際会議開催の可能性など検討も始めつつあります。(おわり)

1/26@大阪「ガイアエデュケーション説明会 &COP24・アジアの最新情報報告会」

投稿日: カテゴリー: EventGaia

~アジア諸国におけるエコビレッジの役割とガイアエデュケーションの可能性~

2018月12月11日から、GENOA(グローバルエコビレッネットワーク オセアニア・アジア)国際会議が開催されました。
タイ、日本を始め、アジアのエコビレッジの今と、災害及び難民対策がどのように行われているか、GEN(グローバルエコビレッネットワーク)のアジア各国代表が集まる国際交流です。
アジアオセアニアの11か国50人以上が集まる中で、
日本人代表として参加した片山弘子代表より報告いたします。

その中で、人と人のつながりを回復し、持続可能な地域社会のベースを創るための世界共通の教育プログラム「ガイアエデュケーション」が期待され、日本が注目されています。

★世界共通のプログラムでありながら、なぜ日本が注目されるのか?

プログラムに沿って取り組むメソッドに秘密があります。
いかにして、そのメソッドを活かし繋がりを形成して行くのか?

鈴鹿コミュニティ(三重県)では、2001年より17年間における研究と試験によって培われた人間らしく生きるためのメソッドがあります。

前半は、
アズワンネットワークや鈴鹿コミュニティについて紹介し、コミュニティの実際、これまでの研究と試験の経緯、そこから見えてきた人らしく生きるためのメソッドなどについてのお話しです。

後半は、
異常気象が続く中、これから10数年の間に、私たち市民が、同じ地球に生きるものとしてどれだけ力を合わせていくかに、命運がかかっているともいわれています。
これからの地球時代を生き抜くための、ベースとなりうる教育プログラム「ガイアエデュケーション2018」の報告と2019年度募集概要の紹介をします。
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▶開催日 2019年1月26日(土) 
▶内 容 開場13:30 スタート14:00〜
     はじめに/COP24・アジアの最新情報報告(片山弘子)
     前半/アズワンネットワークお話会(北川道雄)
     後半/ガイアエデュケーション 説明会(片山弘子)
     17:00終了予定 個別質疑応答〜17:45
▶場 所 KOKOPLAZA (新大阪駅東口より徒歩7分) 
     https://kokoplaza.net/access/
     〒533-0033 大阪府大阪市東淀川区東中島1丁目13-13
▶対 象 どなたでも
▶定 員 20名以内
▶参加費 1000円
▶申込み https://goo.gl/forms/WtEHD9trmeO5zLdf1

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【ガイアエデュケーションの3つの学びの特徴】
ガイアエデュケーションは、ユネスコ認証の教育プログラムとして、それぞれの地域に個性豊かなコミュニティを実現できる、人材育成プログラムです。

①本心から安心して話し合えるベースをつくり、体験する。
②コミュニティづくり、トランジションタウン、パーマカルチャーの実践地が会場で、直接その空気を体験できます。
(安曇野シャンティクティ・アズワンネットワーク鈴鹿コミュニティ、トランジション藤野)
③世界最新の世界観・社会・経済・環境の総合的な視点を、個性豊かな一流講師陣から直接学ぶ。
http://gaia.gen-jp.org

【アズワンネットワークについて】
2001年から研究と試験を積み重ね、「誰もが本心で生きられる社会」を実現しつつあるアズワンネットワーク鈴鹿コミュニティ。
コミュニティと言っても、ルールや義務がなく、代表者も責任者もいない。コミュニティの境界もなく、メンバーの規定もない中で、それぞれがつながり合い、調和しながら、一つのコミュニティを形成しています。
そして、
・安心して本心を言える暮らし
・多数決ではなく話し合いで営まれる運営
・自由意思と持ち味発揮で調和するコミュニティ
・上下や命令のない「心が満たされる会社」
・お金を介在しない経済
・・・などが試みられています。
http://as-one.main.jp/HP/index.html

【GEN-JAPAN】
NPO法人えこびれっじネット日本GEN-Japanは、いま日本の各地で、新しい社会の姿を模索し、提案や活動されている、研究機関、行政、地域産業や市民をネットワークし、それぞれの活動と協力が推進されるよう、サポートします。a
さらに、それぞれの持ち味を持ち寄って、持続可能な社会づくりのための、新しい教育活動を展開し、互いに協力しながら人材育成を図ります。
各地に個性豊かな持続可能なコミュニティや活動が生み出され、もっと一人一人がその人らしく生きられる社会が、暮らしの足元にもたらされることを目的としています。
http://gen-jp.org

1/11(金) 「アズワン鈴鹿コミュニティ」に学ぶ、持続可能なコミュニティづくり

投稿日: カテゴリー: Eventお知らせ

「一人一人の自由意思が調和して成り立っていく社会」への実現に向けて、2001年三重県鈴鹿市で始まった、誰もが快適に暮らせるコミュニティづくり。
HP:http://as-one.main.jp/HP/index.html
FB:https://www.facebook.com/as.one.suzuka

持続可能な新しい社会のあり方を模索しながら、日々、様々な研究と試験が積み重ねられています。

その鈴鹿コミュニティから片山弘子さんと岡田拓樹さんをここカフェゆっくり堂にお迎えして、店主の辻信一さんを聞き手に、「アズワンでの試み」ついてお話を伺っていきます。

遠方よりはるばるお越しくださる貴重な機会です。
多くの気づきが得られると思いますので、ぜひ気軽にお越しください。

≪ゲストプロフィール≫

片山弘子
えこびれっじネット日本GEN-Japan代表理事
1955年広島市生まれ。10代の終わりのころから、人と人が安心して暮らしながら、何もやらないでもいいというゼロのところから、何でも話し合えるようになりあっていける、そんな場づくりを追求。
その流れの中で、三重県鈴鹿市にある、都市型、開放型のコミュニティづくりをしているアズワンネットワーク鈴鹿コミュニティ在住。裏千家の茶道教室も主宰している。

岡田拓樹
埼玉県生まれ。明治学院大学国際学部に入学し、国際ボランティアや辻信一ゼミで活動。21才で休学しそのまま退学。三重県にあるアズワンネットワーク鈴鹿コミュニティにあるサイエンズアカデミーに入学。海外からの学生と共に鈴鹿コミュニティにて、人も自然も持続可能な社会創りを実践中。
サイエンズアカデミーHP:http://as-one.main.jp/zaidan/HP/

日時:2019年1月11日(金)、19:00~20:30(開場18:00)
会場:カフェゆっくり堂 http://www.yukkurido.com(JR戸塚駅東口より徒歩7分)
参加費:1,000円+カフェでのワンオーダー
お申込み:イベントタイトル、お名前、人数、連絡先、ひとことを添えて、ナマケモノ事務局 info@sloth.gr.jpまでお申し込みください。
お問合せ:TEL045-443-5954
主催:ナマケモノ倶楽部
協力:カフェデラテラ、カフェゆっくり堂