お金から「人間性」について問い直す
私たちは生まれた時から、すでにお金があって当たり前の世界に生きてきた。さらに、「人間の本質が利己的・対立的・攻撃的」という人間観で組み立てられた経済と社会に生れ落ち、それに適応して、「人よりお金が信頼できる」のが普通になった心の状態をつくりだしているようだ。一見、私たち人間はいつまでも奪い合いや争いをやめられないように見える。しかし実際はどうだろうか。
昨夜は、ヘレナ・ノーバーグ・ホッジさんを囲んで、ヘレナさん編集のビデオ「Planet Local」https://vimeo.com/722652772 を18か国語に翻訳したそれぞれの担当者が世界から集って語り合うことができた。私もガイアエデュケーションやガイアユースの卒業生たちと共に、日本語翻訳のチームとして参加した。その中で、ガイアユースを卒業した女学生が、人間の本質について冒頭に語られていた内容に感動したと発言し、ヘレナさんはじめ参加者全員で、本来の人間性を問い直す、探究のないものには、どのような方法をもってしても持続できないのではないかと語り合った。ビデオの冒頭部に登場した一人、医師であり神経生理学の専門家ガボール・マテは、「利己的・対立・攻撃的と私たちが呼ぶものを支えるシステムは、もともと人間の神経生理系には存在しない」と明快に語っている。
たとえば今日は雲一つない青空が広がって、その美しさに吸い込まれそうになる。こんな時、教えられたものではない、内発的で自然な振る舞いをしている自分の無邪気さに気づく人も多いのではないだろうか。豊かな実りの季節を迎えた里山や田畑から、里海にむけて川筋をたどる道中、出会った見知らぬ人同士でさえ、どちらからとも知らず、いい天気ですね、と声をかけたくなる。我が家で新米を食べる時も、そのおいしさに、離れて暮らす家族や親せきのみならず、ふと見知らぬ家庭の食卓に思いを馳せたり、野菜やコメを丁寧に町の人たちに届けようと気を配る店員さんの笑顔をまぶしく感じられる。同じ空の下、地球の誰もが安心して暮らせますように。この世界の平和と安定を願わずにいられない。この一隅から、どの人も本心で生きられる社会につながる仕事をしていきたい。
今月お招きした新井和宏さんは、お金のプロフェッショナルの立場から人間性について問い直しながら、豊かで美しい心のあふれる社会につながる仕事に、人生をかけています。明日23日、日曜日午後のひと時を、新井さんとご一緒に過ごしませんか。そして内なる本当の願いを、周りの皆さんと語り合っていきませんか。(片山弘子)